株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションA(市場動向編)です。
«VCM Updatesの構成»
A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 ← 本記事の対象
クレジット発行・償却・投資動向分析
プロジェクトパイプライン分析
詳細解説セクション
B. 海外の主要規制の動向
はじめに
クレジットの発行・償却・投資動向、及び、案件パイプライン動向について
クレジット発行に関し、2月の全体発行量は2,380万ユニットとなり、前年同月比で大きな変化はありませんが、自然由来のクレジット発行量は毎年増加しています。中でも、ARTレジストリによる発行が大きな部分を占めているのが特徴です。
償却に関しては、2月のクレジット償却量は2,020万ユニットとなり、前年同月比では微増しています。そのうち約3割が自然由来のクレジットの償却で、その大部分はVCSによるものです。
クレジット発行はレジストリの多様化が見られますが、償却はこれまでの案件数の多いVCSが未だ大部分を占めるというトレンドが続いています。
投資動向に関し、今月は自然由来と炭素除去(CDR)のプロジェクトへの重要な投資を9件紹介します。今回はFrontierやGoogle、United Airlinesといった海外プレーヤーに加え、住友林業が設立した米Eastwood Forestsや日本郵船、三井物産といった日本企業に関連した取り組みが含まれます。
新規の案件パイプラインについては、2月は自然由来のプロジェクト数が増加し、特にラオス(7件)やインド(13件)の案件が多く申請されました。
A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 (Verra)
A-1: クレジット発行・償却・投資動向分析
- 分析対象レジストリー: VCS(Verra)、GS(Gold Standard)、CAR(Climate Action Reserve)、ACR(American Carbon Registry)、Puro (Puro.earth), Isometric
- 対象期間: 2025年2月
- 留意事項: 償却した企業について、レジストリーに対して実名での登録は義務付けらておらず、正確性は保証できない旨ご了承ください。また、レジストリーへの反映には遅れがありますので、今後も本対象期間中について案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。
本対象期間の発行・償却実績は以下のとおりです(括弧内は前年同月比)。
発行実績: 23.82百万(-6%)、うち自然由来11.45百万(+28%)
償却実績: 20.23百万(+13%)、うち自然由来6.58百万(+4%)
<発行された案件リスト>
以下は、本対象期間にクレジットが発行されたプロジェクトの上位10件です。
<償却された案件リスト>
本対象期間に最も多く償却されたトップ10の自然由来プロジェクトの一覧は以下の通りです。
<償却企業リスト>
対象期間中に自然由来プロジェクトのクレジットを償却した上位10社は以下の通りです。
<自然由来プロジェクトへの投資動向>
- 対象期間: 2025年2月
- 留意事項: 自然再生やREDD+、及び、自然由来系のCDR案件に対する投資を取り上げています。また、「クレジット量」や「投資額」については、今後の想定値である場合があります。
2月には、自然由来とCDRのプロジェクトへの重要な投資が9件ありました。
A-2: プロジェクトパイプライン分析
分析対象レジストリー: VCS(Verra)、GS(Gold Standard)
対象期間: 2025年2月
留意事項: レジストリーへの反映には若干タイムラグがあるため、今後本対象期間についても案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。
用語: 年間ERとは、年間の排出削減・吸収量(tCO₂e)のことを指します。
このセクションでは、まず新しいパイプラインプロジェクトを紹介し、その後、前回のニュースレターに反映されていなかった先月のパイプラインでの重要な変更点をレビューします。
<今月分パイプライン>
自然由来プロジェクトのパイプラインには、以下の33件のプロジェクトが含まれています。
<前月パイプラインの重要変更点>
先月のニュースレターでは、1月のパイプラインに合計2件のプロジェクトが含まれていました。しかし、その後更新され、現在は合計8件のプロジェクトが含まれています。
A-3: 詳細解説セクション
このセクションでは、前述で紹介した投資案件について、より詳細な解説をしています。
<自然由来プロジェクトへの投資動向>
このセクションでは、先月に発表された自然由来案件への投資に関する内容について紹介します。