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2025年6月 VCM Updates Section B

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炭素関連政策動向ハイライト

Jun 26, 2025
∙ Paid

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2025年6月 VCM Updates Section B
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株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションB(海外の主要規制の動向編)です。お問い合わせはこちらまでお願いいたします。


セミナーのお知らせ

本題に入る前に、セミナーのお知らせです。今回は、企業バリューチェーン内に関するセミナーを実施します。

本セミナーでは、EU森林破壊防止規則(EUDR)、強制労働防止関連法(UFLPA・EU FLR)、企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)、欧州バッテリー規則、炭素国境調整メカニズム(CBAM)といった主要規制を踏まえて、日本企業がとるべき具体的戦略について解説します。

  • タイトル: データドリブンで実現する持続可能なサプライチェーン戦略 ~CBAM・EUDR・CSDDD・UFLPA・トランプ関税・Scope 3削減への統合対応~

  • 日時: 2025年7月8日(火)

  • 登録ページ: こちらよりお願いいたします。

「サプライチェーン」と「サステナビリティ」部門がどのように連携すべきなのか。どのように上述の規制に対して高リスクなサプライヤーや商材を特定し、将来の規制変更の影響をシミュレーションできるのか、当社のプラットフォームを用いた定量的な分析例をご紹介します。持続可能なサプライチェーン構築検討の参考になれば幸いです。


本記事では、2025年5月から6月にかけて発表された主要な炭素関連政策の動向に関し、以下の項目に沿ってお伝えします。

  • パリ協定第6条2項(二国間協力)

  • パリ協定第6条4項(パリ協定クレジットメカニズム)

  • 各国炭素関連政策

  • 非国家主体のイニシアチブの動き

キーワード: 6条2項, JCM, 6条4項メカニズム, SBTi, VCMI, ICVCM


はじめに

パリ協定6条2項に基づく二国間枠組みに関し、いくつか重要な前進がありました。JCMに関しては、タンザニアとの署名が発表され、JCM国は30カ国となりました。その他の二国間協力についても、ケニアとスウェーデン間での協定の締結の発表があった他、シンガポールによるルワンダおよびブータン向け適格性リストが公表されるなど、二国間協定下の案件形成・実施に向けて環境整備が進んでいます。日本以外の先進国との二国間協定は、JCMの競合とも捉えられますので、こうした交渉の動向は注視しておくことが重要です。

また、6条4項に基づくパリ協定クレジットメカニズムに関し、方法論専門家パネル(MEP)は、5月下旬に開催された第6回会合を中心に動きがありましたので、その概要を説明します。

各国の炭素関連政策としては、EU2040目標におけるクレジット利用をめぐる対立に加え、ブラジル、ベトナム、ラオス、ケニア、エチオピアといったホスト国各国における炭素政策の進展状況を紹介します。炭素市場の成熟に向けてはまだ距離があるものの、各国で着実に政策的基盤が整いつつあります。

最後に、非国家主体のイニシアチブの動きとしてSBTiによる自動車セクターを対象とした新基準策定のためのパブリックコンサルテーション、世界銀行が主導し、VCMI、ICVCMなどの主要な機関が共同で策定した新しい実践的ガイダンス「Country Guidance for Navigating Carbon Markets」、ICVCMによる永続性に関する報告書について紹介します。特に、ICVCMの永続性に関する報告書については、CCPのモニタリングおよび補償期間の延長に関連するものであり、本ニュースレターの最後でその詳細を解説します。


パリ協定第6条2項(JCMを含む二国間協力)

パリ協定第6条2項に基づく二国間協力は、各国のNDC(国が決定する貢献)達成に向けた国際的な炭素クレジット取引の枠組みであり、直近1ヶ月に見られた進展は以下の通りです。

タンザニアとの間でのJCMの構築に関する覚書署名(link)

2025年5月28日、タンザニアと日本はJCMの構築に関する協力覚書に署名しました。タンザニアが加わったことにより、JCM国は合計で30カ国となっています。登録済みおよびパイプラインのボランタリー案件の推定年間ERベースでみると、アフリカのJCM国(エチオピア、ケニア、セネガル、チュニジア、タンザニア)の中では、タンザニア(約16MtCO2e)はケニア(約70MtCO2e)に次ぐポテンシャルを持っています。自然由来のポテンシャルも一定程度あり、今後JCM下での案件組成が期待されます。

ケニアとスウェーデン間の二国間協定の締結(link)

2025年6月16日、ケニア環境・気候変動・林業省はとスウェーデン・エネルギー庁は、パリ協定第6条に基づく排出量取引に関する協力協定を締結しました。この協定に関する協議は2024年初頭から始まり、今後は排出削減プロジェクトの実施に移ります。スウェーデンはこれまで、UNDPやGlobal Green Growth Institute (GGGI) との協力関係を構築しており、今後のケニアにおける取り組みにおいても、それら機関と協働する予定です。なお、スウェーデンはこれまでガーナ、ザンビア、ネパールなどとも同様の協定を結んでおり、ケニアにとっては日本(JCM)、シンガポール(MOU)、スイスについで4カ国目の二国間協定となります。

シンガポールによるルワンダおよびブータン向け適格性リストの公表(link)

シンガポールは、パリ協定第6条2項に基づく取引を実運用化するため、国際カーボンクレジット(ICC)フレームワークに関するルワンダおよびブータン向けの適格性リストを公表しました。ルワンダ向けのリストは、エネルギーアクセスと技術ベースのプロジェクトを優先する一方、土地利用および森林系方法論の大部分を除外しており、国際的なカーボンクレジット調達におけるシンガポールの戦略的選好を示しています。ブータン向けのリストは、GS、VCSなどの主要なスタンダードの土地利用および森林・農業系方法論を除くほとんどの方法論の使用を許可しています。ただし、ARTの全ての方法論は使用が認められています。

パリ協定第6条4項(パリ協定クレジットメカニズム)

方法論専門家パネル(MEP)の動き(link)

パリ協定第6条4項の技術的な基盤を構築する上で中心的な役割を担う方法論専門家パネル(MEP)は、この1ヶ月、特に5月下旬に開催された第6回会合を中心に活発な動きを見せました。会合では、特に「抑制された需要」の扱いや、排出削減活動と除去活動に関するガイダンスの相互適用性といった重要テーマが議論されました。その成果として、抑制された需要に関する基準草案や、除去方法論に関するコンセプトノートが公表されています。これらの文書は、過剰なクレジット発行を防ぎつつ、多様なプロジェクトの実用性を確保するための柔軟性を持たせるなど、市場の信頼性と公平性を担保するための具体的な方向性を示すものです。関連するコンセプトノートについては6月23日までパブリックコメントが募集されるなど、ステークホルダーとの対話も進められています。

さらにMEPは、クリーン開発メカニズム(CDM)時代の7つの方法論(再生可能エネルギーや廃棄物管理など)を近代化する計画や、市場の整合性を支える新たなツール開発の検討も進めています 。直近では、クリーンクッキング(改良かまど)に関する新しい方法論が提出され、7月に開催される次回MEP会合でのレビューに向けてパブリックコメントが開始されました。これらの動きは、新しい国連主導のクレジット市場の運用開始に向けた技術的なルール作りが着実に前進していることを示しており、今後、このメカニズムの下でクレジットが発行される最初のプロジェクトへの道筋をつける重要なステップとなります 。


各国炭素関連政策

EU2040目標におけるカーボンクレジット利用をめぐる対立

EUが2025年7月に最終法案を公表する見込みの2040年の排出削減目標をめぐり、国際的なカーボンクレジットの利用を認めるか否かが論点の一つとなっています。

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