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2025年7月 VCM Updates: Section A

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VCM Updates Section A: Voluntary Carbon Creditの市場動向

Jul 28, 2025
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2025年7月 VCM Updates: Section A
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株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションA(市場動向編)です。


«VCM Updatesの構成»

A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 ← 本記事の対象

  1. クレジット発行・償却・投資動向分析

  2. プロジェクトパイプライン分析

  3. 詳細解説セクション

B. 海外の主要規制の動向


はじめに

クレジットの発行・償却・投資動向、及び、案件パイプライン動向について

今月のニュースレターでは、クレジットの発行・償却実績は、2025年第2四半期(4-6月)のデータを扱います。

2025年第2四半期(4-6月)の全体発行量は6,846万ユニットとなりました。前年と比べて増加していますが、2022年および2023年に記録された7,000万ユニット以上には達していません。レジストリの割合を見てみると、VCSからの発行割合が2024年以降減少しており、2025年は特にACRの割合が多くなっています。

2025年第2四半期(4-6月)の全体償却量は3,600万ユニットを超え、過去最高を記録しました。ただし、第1四半期の償却量は前年より少なく、例年、第4四半期の償却が一番大きくなりますので、償却のトレンドが上向いてきたと言うにはまだデータの見極めが必要と言えそうです。レジストリやプロジェクトタイプ別の割合はこれまでと比べて大きな変化は見られませんでした。

投資動向に関し、今月は重要な投資15件を紹介します。このうち3件はMicrosoftによるIFM(480万トン)、ALM(260万トン)、BECCS(110万トン)に関するものでした。他には、サウジアラビアNEOMの水・エネルギーセクター子会社Enowaによる3,000万トンという大型のオフテイク契約や、SAPやByteDanceによるClimeworks、Rubicon Carbonを通じたポートフォリオ型のクレジット調達がありました。

新規の案件パイプラインについては、6月は24件の自然由来案件、1件のCDR案件の登録がありました。CORSIA適格のVM0042(ALM)やVM0033(マングローブ)の案件が複数国から出てきています。その中にはJCM対象国もあることから、JCMとCORSIAの双方を視野に入れた案件組成戦略、またその際の国を見る視点についても解説します。


A. Voluntary Carbon Creditの市場動向

A-1: クレジット発行・償却・投資動向分析

- 対象レジストリー: VCS(Verra)、GS(Gold Standard)、CAR(Climate Action Reserve)、ACR(American Carbon Registry)、ART-TREES、Puro (Puro.earth), Isometric
- 対象期間: 2025年4-6月
- 留意事項: 償却した企業について、レジストリーに対して実名での登録は義務付けらておらず、正確性は保証できない旨ご了承ください。また、レジストリーへの反映には遅れがありますので、今後も本対象期間中について案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。

2025年第2四半期(4-6月)の発行・償却実績は以下のとおりです。

  • 発行実績:6,846万(前年同期比+3.36%)

    • 対象期間の発行数は前年と比べて増加していますが、2022年および2023年に記録された7,000万ユニット以上には達していません。

    • レジストリ別のデータを見てみると、VCSからの発行割合が2024年以降減少しており、2025年は特にACRの割合が多くなっています。タイプ別には、非CO2ガス案件が増加(ほとんどがACR)しており、自然再生(ACRとCARのIFMが中心)とREDD(全てVCS)が微増しています。

  • 償却実績:3,683万(前年同期比+14.75%)

    • 2025年第2四半期の償却は、3,600万ユニットを超え、過去最高を記録しました。ただし、第1四半期の償却量は前年より少なく、例年、第4四半期の償却が一番大きくなりますので、償却のトレンドが上向いてきたと言うにはまだデータの見極めが必要と言えそうです。

    • レジストリの割合を見てみると、VCSとGold Standardが大半を占め、プロジェクトタイプを見てみると、エネルギーが一番多く、REDD+や自然再生プロジェクトには前年と比べて大きな変化は見られません。

<発行された案件リスト>

以下は、2025年6月にクレジットが発行されたプロジェクトの上位10件です。

なお、上記に表示されているクレジットのラベル(CORSIA、CCP、Article 6、Removals)は、すべて各認証機関(レジストリ)から提供された情報に基づいています。したがって、以下にご留意ください。

  • 方法論自体がCORSIA適格(eligible)・CCP認定(approved)であっても、レジストリ側のデータにラベル情報が含まれていない限り、上記の表ではラベル付きのクレジットとしてカウントされません。

  • Article 6ラベルの情報を提供しているのは、VCSおよびGSのレジストリのみです。

ルワンダのクックストーブ案件(VCS-4150)からの100万ユニットを超えるクレジットに、Article 6ラベルが付与されています。他にも、米国のIFM案件(ACR-848)に対して、7万ユニットのRemovalsラベルが付与されています。

<償却された案件リスト>

2025年6月に最も多く償却されたトップ10の自然由来プロジェクトの一覧は以下の通りです。

<償却企業リスト>

2025年6月に自然由来プロジェクトのクレジットを償却した上位10社は以下の通りです。

最も多くを償却した企業は米国のNetflixであり、その数量はおよそ14.6万ユニットでした。同社はこれまで、ケニアやブラジルのREDD案件、ケニアのALM案件(近年批判の対象となっているNorthern Kenya Grassland Carbon Project)、チリのARRやパキスタンのマングローブ案件から累計2.76Mユニットを償却しています。Netflixは、2024ESGレポート、2022ESGレポートでそれぞれカーボンクレジットプロジェクトのスクリーニング基準を公表していますが、ケニアのプロジェクトの批判を受けて基準が変更された形跡はなく、また同プロジェクトをめぐる一連の論争や判決等について、現在のところ公式なコメントはありません。

<自然由来とCDRプロジェクトへの投資動向>

- 対象案件: 自然由来及びCDRに対する投資を取り上げています。
- 対象期間: 2025年6月
- 留意事項: 「クレジット量(Credits)」や「投資額(Group investment)」については、発表された数字のみを記録しているため、空欄がある場合があります。また、この表でのBeneficiaryとは、投資をした企業やクレジットを購入する側の企業を指し、Investment intoとは、投資対象がプロジェクトなのかファンドなのかを示しています。

6月には、自然由来とCDRのプロジェクトへの重要な投資が15件ありました。こちらの内容については、A-3: 詳細解説セクションをご覧ください。


A-2: プロジェクトパイプライン分析

- 対象レジストリー:  VCS(Verra)、GS(Gold Standard)、CAR(Climate Action Reserve)、ACR(American Carbon Registry)、ART-TREES、Puro (Puro.earth), Isometric
- 対象案件: 自然由来及びCDRに関するパイプライン 
- 対象期間: 2025年5-6月
- 留意事項: レジストリーへの反映には若干タイムラグがあるため、今後本対象期間についても案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。
- 用語: 年間ERとは、年間の排出削減・吸収量(tCO₂e)のことを指します。

このセクションでは、自然由来およびCDRに関し、先月の新しいパイプラインプロジェクトおよび、前回のニュースレターで紹介した先々月のパイプラインの更新情報をカバーします。

なお、当データベースにおける申請日(Listing Date)は、レジストリから直接取得したもの、または推定によるものです。そのため、データの網羅性・正確性は保証するものではありませんのでご留意ください。

<自然由来案件パイプライン>

2025年6月のパイプラインには24件のプロジェクトが、5月のパイプラインは先月のニュースレター発行後に更新され、現在は73件のプロジェクトが含まれています。

2025年5月-6月のパイプライン案件数

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