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2025年8月 VCM Updates: Section A

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VCM Updates Section A: Voluntary Carbon Creditの市場動向

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sustainacraft
Aug 27, 2025
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2025年8月 VCM Updates: Section A
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株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションA(市場動向編)です。


«VCM Updatesの構成»

A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 ← 本記事の対象

  1. クレジット発行・償却・投資動向分析

  2. プロジェクトパイプライン分析

  3. 詳細解説セクション

B. 海外の主要規制の動向


はじめに

クレジットの発行・償却・投資動向、及び、案件パイプライン動向について

今月のニュースレターでは、クレジットの発行・償却実績は、2025年7月のデータを扱います。

2025年7月の全体発行量は13.34百万ユニットとなりました。前年と比べて減少しており、これまでの4年間で最も低い数量となりました。レジストリ別に見てみると、VCSからの発行割合が2022年以降減少しており、タイプ別でみると、自然再生とエネルギーが減少している一方でREDD+は増加しています。

2025年7月の全体償却量は、前年からは増加し、11.64百万ユニットとなりました。レジストリおよびプロジェクトタイプの割合を見てみると、VCSとGold Standardが大半を占め、エネルギーとREDD+が半数以上を占めるという構図には大きな変化はみられませんでした。

投資動向に関し、今月は重要な投資12件を紹介します。

このセクションでは、先月に発表された自然由来とCDR案件への投資に関する内容について紹介します。自然由来案件への投資に関しては、Microsoftがオフテイクする米国の植林案件に対するJP Morgan Chaseによるノンリコースローンの提供などを紹介します。CDR向けの投資に関しては、Frontierといった企業連合による投資とMicrosoftによるBECCSおよび有機廃棄物の地下貯留を対象とした大型のオフテイク契約が目立ちました。

案件パイプラインについては、7月は17件、6月は先月のニュースレター発行後に更新され、現在は35件のプロジェクトが含まれています。


A. Voluntary Carbon Creditの市場動向

A-1: クレジット発行・償却・投資動向分析

- 対象レジストリー: VCS(Verra)、GS(Gold Standard)、CAR(Climate Action Reserve)、ACR(American Carbon Registry)、ART-TREES、Puro (Puro.earth), Isometric
- 対象期間: 2025年7月
- 留意事項: 償却した企業について、レジストリーに対して実名での登録は義務付けらておらず、正確性は保証できない旨ご了承ください。また、レジストリーへの反映には遅れがありますので、今後も本対象期間中について案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。

2025年第7月の発行・償却実績は以下のとおりです。

  • 発行実績:13.34百万(前年同期比-37.66%)

    • 対象期間の発行数は前年と比べて減少しており、これまでの4年間で最も低い数量となりました。

    • レジストリ別のデータを見てみると、VCSからの発行割合が2022年以降減少しています。タイプ別には、自然再生(ACRとCARのIFMが中心)とエネルギー(GSとVCS)が減少していますが、REDD+(全てVCS)は増加しています。

  • 償却実績:11.64百万(前年同期比+34.72%)

    • 7月の償却は10百万ユニットを超え、2022年以来この期間で最も大きな償却量となっています。

    • レジストリおよびプロジェクトタイプの割合を見てみると、VCSとGold Standardが大半を占め、エネルギーとREDD+が半数以上を占めるという構図には大きな変化はみられません。

<発行された案件リスト>

以下に表示されているクレジットのラベルは、すべて各認証機関(レジストリ)から提供された情報に基づいています。したがって、以下にご留意ください。

・方法論自体がCORSIA適格(eligible)・CCP認定(approved)であっても、レジストリ側のデータにラベル情報が含まれていない限り、上記の表ではラベル付きのクレジットとしてカウントされません。
・Article 6ラベルの情報を提供しているのは、VCSおよびGSのレジストリのみです。

以下は、2025年7月にクレジットが発行されたプロジェクトの上位10件と、ラベル(Article 6、CCP、CORSIA、Removal)が発行された案件リストです。

発行プロジェクト上位リスト

ラベル発行実績(Article 6)

7月は、ラオスの省エネ案件に対してArticle 6ラベルが発行されています。Article 6ラベルは、これまでルワンダのクックストーブ案件(VCS-4150)に対する発行が全体の約7割を占めており、この後に取り上げるCORSIAラベルも同様ですが、少数の案件が発行量の多くを占めるという特徴があります。

ラベル発行実績(CCP)

CCPラベルに関しては、7月は主にウズベキスタンのFugitive Emissions案件に対して発行されています。CCPラベルは、これまでこのFugitive Emissionsを中心とした非CO2案件に対して多く発行されています。

ラベル発行実績(CORSIA)

CORSIAラベルに関しては、7月はメキシコのIFM案件とブラジルの省エネ案件にそれぞれ発行がありました(双方共にPilot Phase、Vintageは2020)。なお、現在発行されているCORSIAラベルには、Pilot PhaseとPhase 1のものがあります。Pilot Phase (2021~2023)では、 vintageが2016~2020のものはホスト国政府による承認レター、いわゆるLoAが不要ですが、vintageが2021~2023のものはLoA必要です。またPhase 1 (2024~2026)では全てのvintage (2021~2026)でLoAが必要となってきます。今回発行が確認されたものはいずれもPilot PhaseかつVintageが2020年でLoAは要求されませんので、このメキシコとブラジルの件に関してはLoAが出ている訳ではない点に留意してください。

ラベル発行実績(Removal)

最後に、Removalラベルですが、7月は米国のIFM案件5つ(全てACR)に対して発行がありました。なお、Removalラベルについては、これまでもACRの米国におけるIFMやARR案件を中心に発行されています。

<償却された案件リスト>

2025年7月に最も多く償却されたトップ10の自然由来プロジェクトの一覧は以下の通りです。

一番償却が大きかったのは、上でも紹介した一番発行量が多かったブラジルのREDD案件(VCS-2551)で、60万ユニットを超える償却が確認されました。

<償却企業リスト>

2025年7月に自然由来プロジェクトのクレジットを償却した上位10社は以下の通りです。

最も多くを償却した企業はブラジルのNatura & Coであり、その数量はおよそ20万ユニットでした。同社はこれまで、REDD及び自然再生案件を中心に累計128万ユニットを償却しています。その中には、上のセクションで一番発行と償却が大きい案件と紹介したブラジルのVCS-2551(REDD)も含まれています。

<自然由来とCDRプロジェクトへの投資動向>

- 対象案件: 自然由来及びCDRに対する投資を取り上げています。
- 対象期間: 2025年7月
- 留意事項: 「クレジット量(Credits)」や「投資額(Group investment)」については、発表された数字のみを記録しているため、空欄がある場合があります。また、この表でのBeneficiaryとは、投資をした企業やクレジットを購入する側の企業を指し、Investment intoとは、投資対象がプロジェクトなのかファンドなのかを示しています。

7月には、自然由来とCDRのプロジェクトへの重要な投資が12件ありました。こちらの内容については、A-3: 詳細解説セクションをご覧ください。


A-2: プロジェクトパイプライン分析

- 対象レジストリー:  VCS(Verra)、GS(Gold Standard)、CAR(Climate Action Reserve)、ACR(American Carbon Registry)、ART-TREES、Puro (Puro.earth), Isometric
- 対象案件: 自然由来及びCDRに関するパイプライン 
- 対象期間: 2025年6-7月
- 留意事項: レジストリーへの反映には若干タイムラグがあるため、今後本対象期間についても案件の増減やステータス変更の可能性があることにご留意ください。
- 用語: 年間ERとは、年間の排出削減・吸収量(tCO₂e)のことを指します。

このセクションでは、自然由来およびCDRに関し、先月の新しいパイプラインプロジェクトおよび、前回のニュースレターで紹介した先々月のパイプラインの更新情報をカバーします。

なお、当データベースにおける申請日(Listing Date)は、レジストリから直接取得したもの、または推定によるものです。そのため、データの網羅性・正確性は保証するものではありませんのでご留意ください。

2025年7月のパイプラインには17件のプロジェクトが、6月のパイプラインは先月のニュースレター発行後に更新され、現在は35件のプロジェクトが含まれています。

<自然由来案件パイプライン>

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