株式会社sustainacraftのニュースレターです。今回はMonthly Methodology Updateとして、主に2023年5月に発表されたVCSの方法論の改訂に関するトピックを中心にお届けします。
Monthly Methodology Update
今月は以下の内容をカバーします。
VCUの「ラベル」について(Verra)
VM0003(IFM)のマイナーな改訂(Verra)
農地関連の方法論(VM0042)のメジャーアップデート(ver2.0)(Verra)
生物多様性クレジットに関する方法論: PV Nature(Plan Vivo)
(1) VCUの「ラベル」について(Verra)
(link)
2022年6月ごろから、TSVCM(Taskforce on Scaling Voluntary Carbon Markets)のフェーズ2のレポートにて「吸収系か削減系か」などといった追加的な要素の必要性が提案される中で、Verraが発行するVCUに関して付けられる新たな「ラベル」についての議論が始まりました。2022年7月ごろにパブコメが募集されていましたが、そのレビューも完了し、Verraからの回答が出された、という状況です。パブコメの詳細については、こちらから参照できます。
今回発表された、ラベルタイプごとの決定は以下の通りです。
Reductions and Removals(削減か吸収か): 2023年半ばに予定されているVCSプログラムの次回更新時に、削減クレジットと除去クレジットの区別を可能にするラベルと関連するVerified Carbon Standard(VCS)プログラムの更新を開始することを計画。
パリ協定第6条に関する認可: 2023年半ばにVCUの第6条認可ラベルと関連するVCSプログラムのアップデートを開始する予定。
活動の種類と持続可能な開発効果: 現時点では詳細な活動タイプや持続可能な開発ラベルを進めることはしない。その代わり、今後のVCSプログラムの更新では、ステークホルダーの多様な関心に対応するため、詳細な持続可能な開発およびプロジェクト活動データへのアクセスを改善する。
「削減か吸収か」と、「第6条認可ラベル」は近いうちにラベルとして出てくるようです。ここで、他のスタンダードの状況も簡単に紹介します。
3点目のSDGの観点については、Gold Standardでは、そもそもレジストリーで公開されているクレジット発行の取引データの中で、SDGの番号が紐づけられています。
また、IFM(改良型森林管理)のプロジェクトは、排出削減と吸収が組み合わさる形で効果が発現されますが、ACRは炭素除去クレジットを排出削減クレジットと区別するための業界初のアプローチを発表し、それに対応する形で、クレジット発行時に両者を区別できるようにしたと発表しました。
買い手側についても、クレジット調達における選定基準を明確にしている企業が増えている中で、上記のような明確なラベル付けの需要も高まっていると考えられます。