今回は、先日(3/31)のペルーのREDD+のプロジェクトに対する批判記事(link)についての内容と、それに対する当社の初期的な見解を記載します。
先日のGuardianの記事ほどは話題になってはいませんが、プロジェクトの規模も大きく、すでにリタイアメントされている量も大きいため、速報としてお伝えします。なお、Guardian記事については以下で取り扱っておりますので、まだ参照されていなければこちらもご一読いただければ幸いです。
ペルーのCordillera Azul National Park REDD+プロジェクト(レジストリーのリンク)は、プロジェクトエリアの面積が約135万Ha、年間の排出削減量 (Emission Reduction)が150万 t-CO2を超える大きなプロジェクトです。2008年の開始以降、既に約2800万クレジットが発行されています。
しかし、上リンクの記事では、本プロジェクトに実質的な森林保護効果がなく、クレジットは過大に発行されている可能性があると批判しています。具体的には以下の点を指摘しています:
プロジェクトが森林減少を抑止することに失敗している
巨大なプロジェクトエリア内で起きた森林減少のうち、1/3以上がプロジェクトリアの境界付近で起きているが、それは交通のアクセスが良くかつ材木の価値が高いエリアである
プロジェクトエリアの内外で森林減少率の増加が変わっていない
参照エリアに関する想定が恣意的
参照エリアの農地利用に適した地形的性質を誇張することで、森林伐採のリスクの高さを謳っている
将来の人口増加を過大に見積もっている
一方で、プロジェクト運営者やVerraの関係者は以下のように反論しています:
Cordillera Azul国立公園は2001年に国立公園に指定されて以降法的に守られているが、ペルーのような国では国立公園に指定するだけでは森林伐採の抑止力として不十分である。
国際的な寄付を集めるのが難しいこともあり、国立公園を運営するためのコストのうち約90%をカーボンクレジットの収益で賄っている。
参照エリアの選定については科学的なpeer-reviewのプロセスを経ており、プロジェクト設計時での最適な選択をしている。
ここからは、この記事での2つの批判を細かくみていきつつ、この記事に対しての当社としての初期的な見解を述べたいと思います。