株式会社sustainacraftのニュースレターです。
Methodology Updatesは、炭素・生物多様性クレジットの方法論を扱うシリーズです。本記事では、先月から今月にかけて発表されたGold StandardとVCSの方法論のマイナーアップデートを紹介します。
新しいカバークロップモジュールの公開 (Gold Standard)
VCS方法論のアップデート (Verra)
REDD+方法論VM0048のモジュールアップデートとCCP認定
IFM方法論VM0010(保護林化)のアップデート
お問い合わせはこちらまでお願いたします。
新しいカバークロップモジュールの公開 (Gold Standard)
<出典>
[1] https://www.goldstandard.org/news/new-cover-crops-soil-organic-carbon-activity-module-released
Gold Standardは10月初頭に、土壌有機炭素方法論 (SOCFM: Soil Organic Carbon Framework Methodology)のモジュールとしてカバークロップを新たに追加しました ([1])。以下のニュースレターでも紹介しましたが、SOCFMは土壌有機炭素の増加を目指す複数の活動をカバーする方法論となっており、VerraのALM方法論であるVM0042と対応するものとなっています。
VM0042とは異なり、SOCFMは対応するモジュールがある活動のみカバーされます。本モジュールの追加により、カバーされる活動タイプは6つになりました。
カバークロップとは、主に作物の休耕期間に、土壌の保護や改良を目的として植えられる作物のことです。代表的なカバークロップとしては、イネ科作物 (ライ麦など)、マメ科作物 (レンゲ、ヘアリーベッチなど)、アブラナ科作物などが挙げられます。カバークロップの主な効果としては一般的に以下のようなことが挙げられています:
有機物の供給: 作物の根や茎の部分の自然な分解により土壌中に有機物を供給する。
土壌侵食防止: 地表を覆うことで、雨風による土壌の流出や侵食を防ぐ。
土壌の肥沃度向上: 特にマメ科植物は窒素固定を行い、土壌中の窒素を増加させる。
雑草抑制: 密に生育して地表を覆うことで雑草の成長を抑え、除草剤の使用を削減する。
水分保持: 地表を覆うことで蒸発を抑え、土壌の水分を保持する。
病害虫抑制: 一部のカバークロップは特定の害虫や病原菌の発生を抑制する。
次の栽培サイクルに入る前に、カバークロップを終了1するための処理を行います。具体的には、土壌にすき込む、除草剤で枯らせる、家畜に食べさせるといった方法があります。
今回追加されたモジュールは、特に上の一点目の有機物の供給によるSOC増加を定量化するためのツールです。以下では、本モジュールに特徴的な点をいくつか紹介します。