株式会社sustainacraftのニュースレターです。
本記事は海外の主要規制の動向等を扱うシリーズで、今月は以下に示す3件を取り上げます(今月から、これまで1つの記事で出していたVCM UpdatesをSection AとBに分けて公開しています)。
SBTiがコーポレートネットゼロの大幅な改訂に向けた計画を発表
VerraおよびARTがIC-VCM CCPにおいて適格プログラムとして発表
インドネシアのRimba Raya案件(Verra)がコンセッションライセンスを取り消しに
1点目のSBTiの件は、先日のスコープ3に対するカーボンクレジット等の使用に関する話の続編で、今後のSBTiとしての計画が発表されました。ここでの論点は、何をもって「科学に基づいて(=Science Based)」決めるかということになりそうです。昨年からこの文脈で議論されている内容は、どのような政策・ポリシーのもとで、企業はどのように振る舞うのかという意味で、行動経済・メカニズムデザイン的な観点になりそうであり、「科学」というよりはエビデンスベースといった表現の方がしっくりくるように思います。
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«VCM Updatesの構成(2024年5月)»
A. Voluntary Carbon Creditの市場動向
クレジット発行・償却分析
プロジェクトパイプライン分析
B. 海外の主要規制の動向 ← 本記事の対象
B. 海外の主要規制の動向
(1) SBTiがコーポレートネットゼロの大幅な改訂に向けた計画を発表
(link)
先月、こちらの記事「SBTi がスコープ3の排出量に関して、ボランタリーカーボンクレジットも含む環境証書(注: 以下EAC)を削減の目的での使用を示唆する声明を発表」を紹介しました。このトピックについて、SBTiから今後の計画が発表されました。サマリーは以下の通りです。
2024年6月(Q2): EACの有効性に関する証拠募集
2024年7月: スコープ3に関するディスカッションペーパーの提示
2024年7月: 企業の気候変動目標におけるEACの有効性に関するエビデンスの評価(Part1: カーボンクレジット)
2024年12月(Q4): コーポレートネットゼロスタンダードの改訂版公開コンサルティング
ここでポイントとなるのは、SBTiのScience Based(科学に基づく)と表現している部分です。特にカーボンクレジットを含むEACの利用が、企業の脱炭素に対してどのような影響を与えるのかということがここでの主な論点であり、このトピックについては2023年9月にCall for Evidence(証拠の募集)が行われていました(link)。これは2024年11月24日が提出期限となっています。ここでは、その時の内容を改めて振り返りたいと思います。