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2024年7月 VCM Updates: Section B

VCM Updates Section B:海外の主要規制の動向

Jul 24, 2024
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株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションB(主要規制の動向編)です。

今月は、主要規制という観点では目立ったものがありませんので、少し前に出されたものではありますが、「Expert review of the science underlying nature-based climate solutions」という論文を取り上げたいと思います。

この論文は、幾つものNbCS(Nature-based Climate Solutions)について、体系的にそのポテンシャルおよび不確実性を評価したものとなっており、既存の炭素案件で多く登録・申請されている森林減少・劣化の抑制(REDD+)、植林・再植林(ARR)、森林経営(IFM)、農地管理(ALM)の案件に加えて、まだまだ多くの活動タイプがあるということをお伝えしていきたいと思います。現在、炭素案件で方法論が整備され、多くの案件が実施されているような活動以外にも、ポテンシャルとしては年間の温室効果ガス削減・吸収量が10億tCO2e(日本全体での1年間のGHG排出と同等程度)あると期待される活動がまだ眠っているということは注目すべきことです。

ハイレベルなNbCSに関するスタディーについては、関連するものとして、森林プロジェクトの経済性の記事や、森林カーボンクレジットに関して2023年8月に発行されたエディトリアルの紹介記事(#1, #2)も、興味があればこの機会にぜひご参照ください。

なお、2024年5月の記事で紹介した、SBTによるScope3排出に対するカーボンクレジット(を含む環境証書)でのオフセットを認めるか、という議論で当初は7月にディスカッションペーパーが出てくることが期待されていましたが、現時点では2024年Q3となっていますので、9月末までのどこかで出てくるかどうか、というのが最近のステータスとなっています。関連して、VCMIは今月(2024年7月)Scope3 Claim(ベータ版)についてのパブコメを発表しました。回答の公表は2024年後半、Scope 3に関する主張の全体的な最終決定は2025年Q1を予定しているとのことです。

お問い合わせはこちらまでお願いたします。


«VCM Updatesの構成(2024年7月)»

A. Voluntary Carbon Creditの市場動向

  1. クレジット発行・償却分析

  2. プロジェクトパイプライン分析

B. 海外の主要規制の動向 ← 本記事の対象


B. 海外の主要規制の動向

(1) Expert review of the science underlying nature-based climate solutions

(link)

2024年3月に「Nature Climate Change」誌に掲載された論文で、NbCS(Nature-based Climate Solutions)の43の方策(元の論文ではPathwayと表現されています)について、気候変動に対する「ポテンシャル」(温室効果ガスの吸収・削減量)と「不確実性」を評価しています。

NbCSとは何か?

まず、この論文では、日本でも最近よく聞くようになった自然に基づく解決策(NbS: Nature-based Solutions)とNbCS、および自然気候ソリューション(Natural Climate Solutions)を明確に区別しています。この論文の中で、NbCSはNbSよりも狭く、自然気候ソリューションよりも広いものとしています。

まずNbSは生物多様性や食糧供給、水資源など気候変動以外の観点での便益を産むような活動も含んでいる一方で、NbCSは気候変動緩和に特化したものとされています。一方で、自然気候ソリューションは一般に保全、回復、土地管理の改善を通じて気候を緩和することに主眼を置いており、生態系を本来の機能を超えて移動させることはない前提であるが、NbCSについては、生態系を移動させるような活動も含むとしており、例として、通常の生息域よりも深水域で大型藻類を養殖するような活動が挙げられています。

NbCSの方策(Pathway)

具体的な方策については、9つのバイオーム(北方林、沿岸域、淡水湿地、草原、外洋、泥炭地、低木林、温帯林、熱帯林)と3つの栽培タイプ(アグロフォレストリー、作物栽培、大藻類養殖)に大きく分類し、これらから温室効果ガスの排出削減・吸収が見込める43の方策を特定しています。43のうち、79%がすでにカーボンクレジットの方法論が出てきており、さらに65%はすでに案件が実施済みのものとなっています。

逆に、カーボンクレジットの方法論もまだなく、それゆえ当然取引実績もない活動が20%程度含まれているというところがこの論文の面白いところだと思います。

結果(サマリー)

まず具体的な方法の説明をする前に、先にサマリーとしての結果を説明したいと思います。

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