株式会社sustainacraftのニュースレターです。本記事はVCM Updates(ボランタリーカーボンマーケットのアップデート)のセクションB(海外の主要規制の動向編)です。お問い合わせはこちらまでお願いいたします。
本記事では、以下の内容をお伝えします。
6条4項メカニズムの監督機関会合SB15の主な決定事項や重要事項
各国炭素関連政策のアップデート
キーワード: 6条4項メカニズム, 相当調整
はじめに
6条4項に関する意思決定機関である監督機関会合SB15が開催されました。今回の会合では、暫定的なレジストリの立ち上げや、CDMから6条4項への移管に関する決定などのトピックが話題となっていますが、方法論基準なども着々と検討が進められています。
一方で、後半で紹介する各国政策の動向とも関連しますが、DNA(Designated National Authorities)の指定は「6条メカニズム」を進める上での最初のステップとして着々と進められていますが、UNFCCCに対する「参加要件(*)」の提出があまり進んでおらず、このギャップが、実際のプロジェクト参加に必要な国内の詳細な規則(承認プロセスや持続可能な開発基準など)の策定に遅れが生じていることを表している、という懸念が表明されています。
各国炭素関連政策としては、全体としては(炭素クレジットの「売り手」になると想定される)新興国も自国NDCの達成を重視して、国内の遵守市場の立ち上げを進めつつも、新たに提出されたNDCと整合する形で6条の枠組みのもとで相当調整についても意向を表明するような動きが見られています。特に、これまで大きな動きのなかったが、炭素クレジット供給ポテンシャルの大きなブラジル、ペルー、コロンビアなどの南米各国が、直近でいくつかの動きを見せていることは注視すべきと考えています。
(*) 参加要件(Participation Requirements)については、2025年2月の記事で紹介しています。
お知らせ
当社とコンサベーションインターナショナルブラジルとの協力協定の締結 (link)
今年のCOP30はブラジルで開催されますが、当社ではブラジルのプロジェクト開発者や環境NPOとの案件を注力して進めています。今回は、以前より進めているコンサベーションインターナショナルブラジルと実施している案件で、先日、日本で開催された日・ブラジル経済フォーラムでも発表いたしました。本案件では、アマゾン熱帯雨林、アトランティックフォレスト、セラードの3つのバイオームを対象に、森林再生案件のモニタリングスキーム森林モニタリングスキームの開発を進めています。
SBTi 企業ネットゼロ基準セミナーの開催(link)
再掲になりますが、翌週4/22に表題のセミナーを開催します。ご興味のある方は、4/21までにお申し込みください。
6条4項メカニズムの監督機関会合SB15の主な決定事項や重要事項
(link)
6条4項メカニズム関連では監督機関会合(SB15)が開催されました。ここでは、SB15での主な決定事項や重要事項を抜粋して紹介します。概要は以下に示す通りです。
各国の規則策定の遅れを認識:
DNA指定は98カ国に対し、参加要件提出は14カ国に留まる(2025年2月14日時点)
ガバナンス及び管理事項:
作業計画の承認、専門家パネルに関する要請(「科学」や「除去に関する専門知識」の重要性の強調)
CDMから6条4項への移行:
CDMからの移行に関する「基準」及び「手続き」の改訂版の承認
最初のCDM移行申請案件(CDM PoA 10415)を承認
方法論基準(MEP: Methodologies Expert Panel担当)
ベースライン設定に関する基準の詳細なガイダンスが提供
追加性の実証に関する基準が採択
メカニズム登録簿:
暫定メカニズム登録簿(レジストリ)の立ち上げと運用開始
次回の第16回会合(SB16):
2025年5月12日から16日までドイツのボンで開催予定
各国の規則策定の遅れを認識