株式会社sustainacraftのニュースレターです。今回はVerraのVCSプログラム関連のニュースを取り上げます。ARRもしくはWRCプロジェクトでの条件付きでの非原生単一樹種植林の許可、CORSIA及びCCPを見据えたセーフガードに関する要件の強化、緩和結果タイプラベルとしての削減または除去ラベルの方法論(特にIFM及びALM)を紹介します。
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Monthly Methodology Updates
今月は以下の内容を紹介します。
(1) VCS Standardのアップデート (Verra)
(2) 削減または除去ラベルに関する方法論の整備 (Verra)
VCS Standardのアップデート (Verra)
先月から今月にかけて、VerraはVCSプログラム全般に関わる基準を定めた文書であるVCS Standardのv4.6とv4.7を立て続けに公開しました。以下ではこれらの改訂での大きな変更点について簡単に紹介します。
ARR/WRCプロジェクトにおける非原生単一樹種の利用を部分的に許可 (v4.6)
2023年8月に公開されたVCS Standard v4.5の発表により、ARRもしくはWRCプロジェクトでの非原生種の単一樹種(Non-Native Monoculture)の植林は除外されました。しかし、この変更に対してはステークホルダーから多くのフィードバックがあったようです1。その後、2023年10月から11月にかけて行われたパブリックコンサルテーションの結果、v4.6では条件付きで非原生種の単一樹種植林を認めることになりました。パブリックコンサルテーションの結果のレポートを読む限り、根本的な部分ではステークホルダーとVerraの見解が合意に達したとは言えないようですが、今回はVerraがステークホルダー側に寄った形での改訂と言えそうです。ただし、現在VerraはVCS Standardの大幅な改訂となるv5の準備も進めており、本件の扱い方はそちらでも検討を続けるとしています。
以下では、今回の改訂での主要な論点を簡単にまとめます。
そもそも非原生種単一樹種の植林を認めるべきか?
ステークホルダーの85%が認めるべきという立場 (条件なし: 65%、条件あり: 20%)
Verraは、非原生種単一樹種の植林は周囲の生態系に負の影響を与えうるので、本来は認めるべきでないという立場
v4.6では条件付きで認めるという方向で改訂
非原生種単一樹種の植林の周囲への影響を抑えるための植林面積の制限(100ha以下)の妥当性はどうか?
ステークホルダーの回答で一番多いのは、サイズ制限なしで認めるべきという立場 (45%)
Verraはサイズが大きければ周囲に対する影響も大きいはずという認識だが、そもそも小規模であれば負の影響が小さいという保証もない
よってv4.6では面積に関する言及を外した
非原生種単一樹種の植林を認めるための条件として提案されていた文言の妥当性は?
v4.6の提案書では以下の2つの条件を両方満たすことを求めていた
a) 少なくともプロジェクトエリアの30%以上は元の生態系の保全の回復に充てる
b) 非原生種の単一樹種植林をするのは、先行研究や公式の記録で劣化したと認められているか、過去10年以上にわたって高い強度で農業が行われていたエリアのみ
ステークホルダーの大多数は条件b)は支持していたが、条件a)に対する反応は様々
検討の結果、Verraの他のセーフガード要件は十分強力であり、プロジェクトの一部を生態系の回復に充てなくても問題ないという結論に達した
したがってv4.6では条件b)に相当するもののみを課す方向で改訂
セーフガードに関する要件の強化 (v4.7)
v4.7の改訂に関しては、CORSIA第一フェーズでの承認、及び、IC-VCMのCCPの要件を満たしていることを明確にすることを意図しているとしており、CCPのプログラムレベルの審査については4月末か5月には出ることが期待されています。