株式会社sustainacraftのニュースレターです。今回はMonthly VCM Updateとして、主に2023年11月に発表されたボランタリーカーボンクレジット市場・海外規制に関するトピックを中心にお届けします。
今月から、方法論ごとのパイプラインの簡単なアップデートをセクションAに追加します。今月は、最近ようやく登録第一号案件が出てきたALMの新しい方法論VM0042を扱います。
Monthly VCM Update
今月は以下の内容を紹介します。
A. Voluntary Carbon Creditの市場動向
Issuance / Retirement分析
方法論ごとのパイプライン動向(VM0042)
B. 海外の主要規制の動向
管轄REDDレジストリの一つであるARTの動向
A. Voluntary Carbon Creditの市場動向 (Verra)
1) Issuance / Retirement分析
2023年10月はVerraボランタリーカーボンクレジットでは8,116,026ユニットが新たに発行され、6,550,001 ユニットがリタイアされました。それぞれ前年同月比-26%、+20%となっています。
AFOLU(Agriculture Forestry and Other Land Use)セクターに限ると1,658,867ユニットが発行され、2,002,646ユニットがリタイアされています。それぞれ前年同月比+20%、+35%となっています。
2023年10月にリタイアされたプロジェクトの一覧(AFOLUセクターのみ)です。上位20件のプロジェクトでリタイアメント全体の約87%を占めています。リタイアされた国別ではインドネシアが最大(27%)で、その後をペルー(17%)、ケニア(14%)、エチオピア(12%)、ブラジル(9%)が続いています。
Verra AFOLUセクターのカーボンクレジットをリタイアした企業のTOP 20社は以下の通りです。Energy、Finance、Aviation、Consulting業界の企業がリタイアをしています。
2) 方法論ごとのパイプライン動向(VM0042)
ALMはVerraにおけるALM(農地関連)の方法論です。これまでに以下で取り扱っております。
先日、この新しいVM0042において第一号となる登録案件がありました。そこで、今回は当該方法論におけるパイプライン案件を見ていきたいと思います。
まず、以下に地理的な分布を示します。インドと中国が大半を占めており、インドはUnder Development、中国はUnder Validationのステータスにある案件がほとんどです(色がステータスを示します)。案件規模としては、インドの複数の案件で、年間の吸収・削減量が500万tCO2程度のものが複数あり、REDDなどと比べても極めて大きな規模が予定されています。
現在、VerraのレジストリーにあるAFOLUのプロジェクトについて、年間の削減・吸収量(Annual ER)の多い順にトップ30案件を並べたものが以下の表です。全体としてREDD案件が多い中、今回のVM0042が8件を占めており、AFOLUの供給を大きく変える規模感です。日本企業もよく調達されているインドネシアのKatinganやRimba Rayaなどの大規模のREDD/WRC案件と同等程度の規模であることがわかります。
これを時間軸に落とすと以下のようになります1。VM0042単体で今後10年間で年間70M tCO2程度クレジット創出する案件がパイプラインに上がっています